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卵巣がん

卵巣がんとは

卵巣は子宮の両側に1つずつある母指頭大の臓器です。卵巣には卵子と女性ホルモンを作る機能があります。月経があるうちは、毎月どちらか片方の卵巣から排卵があります。女性ホルモンは、女性らしい身体の特徴を作り出し、また月経の周期や妊娠と関係します。

正常の組織が増殖したものを腫瘍と言います。卵巣の腫瘍にはいくつかのグループ(組織型)があり、卵巣の表面からできる腫瘍(上皮性腫瘍)がほとんどで、次に多いものとしては卵子を作る細胞からできる腫瘍(胚細胞性腫瘍)があります。他にホルモンを産生する細胞からできる腫瘍(性索間質性腫瘍)があります。それぞれに良性腫瘍、悪性腫瘍、その中間の性質を持つ境界悪性腫瘍があります。

不妊治療での排卵を促進させる薬剤を使ったことのある人に卵巣がんの危険度が上がる可能性が報告されていますが反論もあり結論は出ていません。逆に経口避妊薬を使った経験のある人では卵巣がんの頻度は低下します。

卵巣がんの症状

初期にはほとんど症状はありません。進行して腫瘍が大きくなればお腹の上からしこりを触れたり、便秘になったり膀胱が圧迫されてトイレが近くなったりもします。また、お腹に水(腹水)がたまるとお腹が張る感じがしたり、スカートやズボンがきつくなって気付くことが多いようです。

卵巣がんの診断・検査

内診

超音波断層法

正常の組織、液体が貯まっている状態、などで見え方が異なります。卵巣の腫れを疑った場合最初に行う検査です。

MRI

良性、悪性の術前の予測に有効な検査です。

CT

腫瘍自体の状態よりも悪性を疑った場合の、リンパ節や上腹部への転移の有無を検査します。

腫瘍マーカー

血液検査により測定しますが、卵巣がんに特徴的なものとしてCA125があります。上皮性卵巣がんで陽性になることが多いですが、他の疾患(子宮内膜症、腹膜炎、肝疾患、腎不全、膵炎)や妊娠中、月経中でも陽性になることがあります。逆に陰性の場合でもがんではないと言い切れません。

卵巣がんの治療法

病期により治療の方法が異なります。治療法としては手術療法、化学療法があります。
それぞれを単独または組み合わせて行います。

手術(外科的治療)

目的は、卵巣がんであると診断し、病期を決定し、進行がんである場合はできる限り腫瘍を取り除くことです。

実際の手術は、

  1. 腫瘍側の付属器(卵巣と卵管)を摘出し、がんを診断
  2. 子宮の摘出
  3. 反対側の付属器の摘出
  4. 後腹膜のリンパ節(骨盤の中、腎臓の高さまでの動脈のまわりのリンパ節)の摘出
  5. 大網の摘出

これに加え、腹腔内の細胞診(がん細胞がお腹の中にこぼれていないかを調べる)、必要な場合は腸管の切除も行うことがあります。

※大網:胃の前にカーテンのように垂れ下がっている脂肪の多い組織。

化学療法(抗がん剤による治療)

手術後に投与する場合

手術で取りきれなかったがんに対して、または手術後の治癒率を高めるための補助療法として行います。

一般的に静脈投与(点滴)がほとんどですが、内服または手術の際の腹腔内投与(お腹の中に抗がん剤を直接投与する)という方法もあります。どの方法でも血流にのって全身にまわりがんを攻撃します。化学療法により腫瘍を縮小してから手術を行うこともあります。静脈投与で使用する薬剤はパクリタキセル(タキソール)とプラチナ製剤(シスプラチン、カルボプラチンなど)の併用療法が標準的な治療法になっています。

再発

治療によりいったん消失したと思われたがんが再び増殖してくることを言います。症状があったり(再発する部位で異なります)画像検査、血液検査(腫瘍マーカーの上昇など)などで見つかります。治療法としては化学療法を行います。プラチナ製剤(シスプラチン、カルボプラチン)使用後半年未満で再発した場合はプラチナ製剤を含まない薬剤を使用します。半年以上経過している場合は再びパクリタキセル(タキソール)+プラチナ製剤を使用します。再発部分が限局している場合は手術でその部分だけを摘出することもありますし、放射線療法を行うこともあります。

再発に対する標準的な治療法はなく、個々の状態に合わせて検討した後、患者さま本人およびご家族の方々と相談の上、治療法を決定しています。

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