卵巣は子宮の両側に1つずつある親指大程度の臓器です。卵巣には卵子と女性ホルモンを作る機能があります。月経があるうちは、毎月どちらか片方の卵巣から排卵があります。女性ホルモンは、月経周期、妊娠、出産はもちろんのこと、女性の全身の健康にも深く関係します。
体の細胞が制御不能に増殖してできた塊のことを腫瘍と言います。卵巣の腫瘍にはいくつかのグループ(組織型)があり、卵巣の表面からできる腫瘍(上皮性腫瘍)がほとんどで、次に多いものとしては卵子を作る細胞からできる腫瘍(胚細胞性腫瘍)があります。他にホルモンを産生する細胞からできる腫瘍(性索間質性腫瘍)があります。それぞれに良性腫瘍、悪性腫瘍、その中間の性質を持つ境界悪性腫瘍があります。
初期にはほとんど症状はありません。しかし、進行して腫瘍が大きくなれば、お腹の上からしこりを触れたり、便秘になったり膀胱が圧迫されてトイレが近くなることもあります。また、お腹に水(腹水)がたまると、お腹が張ると感じることや、スカートやズボンがきつくなって気付くこともあります。
正常の組織、液体が貯まっている状態、などで見え方が異なります。卵巣の腫れを疑った場合最初に行う検査です。
磁石や電波を利用して、体の内部を画像化する検査です。放射線を使わないため被ばくの心配がなく、様々な角度から体の断面を撮影できます。検査時間は通常20分から1時間程度です。腫瘍の良性、悪性の予測に有効な検査です。
X線を使って体の輪切り画像を撮影する検査です。MRI検査よりも検査時間が短く、体のより広い範囲を撮影することができます。検査時間は通常数分から20分程度です。悪性腫瘍が疑われた場合、全身の他の部位への転移を検索する目的に検査します。
血液検査により測定しますが、卵巣がんに特徴的なものとしてCA125があります。上皮性卵巣がんで陽性になることが多いですが、他の疾患(子宮内膜症、腹膜炎、肝疾患、腎不全、膵炎)や妊娠中、月経中でも陽性になることがあります。逆に陰性の場合でもがんではないと言い切れません。
治療法としては手術療法、化学療法があります。手術療法と薬物療法の選択は、病期、組織型などの予後を左右する因子と、年齢、合併症、将来の妊娠希望の有無などの御本人特有の事情を、総合的に判断して行われます。それぞれを単独または組み合わせて行います。またそれぞれの治療法を行う順序やタイミングについてもよく検討した上で、治療内容をご提案します。
目的は、卵巣がんであると診断し、病期を決定し、できる限り腫瘍を取り除くことです。
実際の手術は、
これに加え、腹腔内の細胞診(がん細胞がお腹の中にこぼれていないかを調べる)、必要な場合は腸管の切除も行うことがあります。
※大網:胃から垂れ下がり、腸の前面を覆う脂肪に富んだ薄い膜。
手術で取りきれなかった場合や、取り切れたものの再発が懸念される場合に、手術後の治癒率を高めるための補助療法として行います。また、十分に治療できた後に、その状態を維持するための維持療法として、薬物療法を行う場合もあります。
薬剤としては、抗がん剤と呼ばれるがん細胞を殺す働きのある薬剤や、分子標的薬と呼ばれる病気の原因となる特定の分子(タンパク質や遺伝子など)に作用するように作られた薬剤、免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれる免疫ががん細胞を攻撃する力を保つ働きのある薬剤があります。
一般的に静脈投与(点滴)がほとんどですが、内服または手術の際の腹腔内投与(お腹の中に抗がん剤を直接投与する)という方法もあります。どの方法でも血流にのって全身にまわりがんを攻撃します。
治療によりいったん消失したと思われたがんが再び増殖してくることを言います。症状があったり(再発する部位で異なります)画像検査、血液検査(腫瘍マーカーの上昇など)などで見つかります。治療法としては化学療法を行います。プラチナ製剤(シスプラチン、カルボプラチン)使用後半年未満で再発した場合はプラチナ製剤を含まない薬剤を使用します。半年以上経過している場合は再びパクリタキセル(タキソール)+プラチナ製剤を使用します。再発部分が限局している場合は手術でその部分だけを摘出することもありますし、放射線療法を行うこともあります。
再発に対する標準的な治療法はなく、個々の状態に合わせて検討した後、患者さま本人およびご家族の方々と相談の上、治療法を決定しています。
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