臨床工学技士は、CE(Clinical Engineering)とも呼ばれ、医療機器の機能性や安全性の向上・維持を業務指針としており、医療機器を介して安全な医療が提供できるように業務を行っています。
当院での臨床工学科の業務は、血液浄化業務・手術室業務・NICU・小児在宅業務・機器管理業務・内視鏡業務・心臓カテーテル室業務などがあります。
シリンジポンプ・輸液ポンプ・下肢静脈血栓予防装置・SpO2モニタ・CVエコー・ベッドサイドモニタ・ネブライザ・人工呼吸器などをMe-TOMASSという機器管理システムを用いて管理を行っています。
急性期から慢性期の患者様の血液浄化に対応しており、持続的腎代替療法(CRRT)、エンドトキシン吸着(PMX)、血漿交換(PE)、顆粒球除去療法(GMA)などを行っています。 血液浄化センターのベッド数は25床で、月~土(2クール)で行っております。
循環器内科と心臓血管外科、脳神経外科、小児科の医師と看護師・診療放射線技師、臨床工学技士が連携を取りながら業務を行っています。その中での臨床工学技士の主な業務内容を紹介します。
ポリグラフで患者様の血行動態の変化などの状態をモニタリングしています。バイタル変化などの急変時に、いち早く報告できるように監視を行っています。
IVUS/OCT操作、画像記録を行い、病変の性状や血管径、内腔径または病変の長さを計測し、医師に報告しています。
カテーテル室では急変時に対応できるよう大動脈バルーンパンピング(IABP)・経皮的心肺補助装置(PCPS)といった生命維持管理装置を常備しています。 これらの保守点検や使用時は医師の指示の下で、操作や管理をしています。
診断ではポリグラフを使用して手術前・手術後の心臓圧波形の解析、治療時には治療に必要な物品出しをしています。また、麻酔器の準備、部屋のセッティング等も行っており検査・治療がスムーズに進むようにしています。
徐脈に対しての一時的ペースメーカーの操作、ロータブレーダーやEVT時の炭酸ガス造影においてのレギュレーター操作なども行っています。
カテーテル室内の医療機器全般の始業点検、定期点検も臨床工学技士が行っています。
不整脈センターでのアブレーション業務とペースメーカーやICD・CRTなどのデバイス管理業務を行います。アブレーション業務では治療の際には多数の医療機器を操作しながら不整脈診断・治療を行っており、不整脈内科医師や看護師、診療放射線技師と連携した質の高い医療を目指しています。
業務内容は心臓電気生理学検査およびアブレーション治療に用いられるスティムレーターや焼灼装置、3Dマッピング装置(CARTO・Rhythmia・Ensite)の操作、心内電位の解析や記録などといった業務を常時2名体制で従事しており、必要に応じて清潔野での医師のサポートも行っています。また当院で国内初導入となった磁気ナビゲーションシステムNiobe ES(EPOCHシステム)のマグネット位置の校正などといったアブレーション治療前準備の操作もMEが担っています。
デバイス管理業務では植込み型デバイス植込み時のプログラマー操作、MRI撮像時や電気メス等を使用する手術の立ち会いやデバイス外来でのフォローアップも臨床工学技士が中心になって行っており、メーカーを問わず遠隔モニタリングも積極的に導入しています。
アブレーションの治療内容や使用した物品、デバイスの植込み時のデータの入力作業を主に臨床工学技士が行っており、次回の検査・治療時に活かせるようにしています。
また当院では磁気ナビゲーションシステムでないと根治が不可能な特殊な症例(成人先天性心疾患や下大静脈欠損症等)なども積極的に治療しており、その豊富な症例を元に医師のサポートを受けながら教育体制を充実させ、医師が行う専門性の高い診断と治療をサポートできるよう日々努めています。
当院には手術室が8部屋あり、臨床工学技士は麻酔器をはじめ手術に必要な機器のセッティング・点検・保守業務を行っています。その他には開心術における人工心肺操作・レーザー使用手術時のレーザーの操作・脳神経外科でのナビゲーション手術装置の操作・自己血回収装置の操作・多くの診療科で使用されている内視鏡装置の保守管理なども行っています。また、2017年からは脂肪幹細胞を利用した再生医療が開始され、脂肪幹細胞を抽出するための機器の操作も行っています。常駐スタッフは2~3名体制で手術室の安全管理に努めています。
総合周産期母子医療センターとして、NICU(21床)・GCU(27床)・MFICU(6床)にある医療機器全般を管理しています。医療機器は保育器・人工呼吸器・補助換気・体温管理装置・NO療法装置・経皮ガスモニタ・INVOS・ベッドサイドモニタ等があります。
小児在宅支援業務ではHOTやHMVの患者様が安心安全に自宅で過ごせれるように機器の指導や管理を行っています。
内視鏡室では、消化器内視鏡検査治療や胆膵内視鏡検査治療、気管支鏡検査を行っています。様々な検査治療を安全に施行するために臨床工学技士が配置され、機器管理・治療介助を行っています。
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