2024.09.09
精神科 / 脳神経内科
高槻病院では、アルツハイマー型認知症の新薬であるレカネマブの治療を行っております。2023年12月に国内での使用が認可され、高槻病院でも2024年4月より対象の方に治療を開始しています。
アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も頻度の高いもの忘れを来す代表的な病気であり、不溶性の蛋白質であるアミロイドβが凝集し脳内に沈着する過程において神経細胞がダメージをうけて認知症の発症につながることがわかっております。
レカネマブ(レケンビ®)は、このアミロイドβに結合する抗体製剤として、脳からのアミロイドβ除去を促すことによって認知症の進行を遅らせる効果が示されております。 投与のスケジュールは2週間に1回の頻度でご来院いただき、約1時間かけて点滴を行います。
レカネマブによる治療を開始するには、以下の項目についてご確認お願いいたします。
① 軽度のアルツハイマー型認知症、または軽度認知障害(MCI)の方 「最近、もの忘れが増えた」 「以前よりぼーっとしていることが増えた」 などの比較的軽度のもの忘れでお困りの方が対象となり、一緒に過ごすことの多いパートナーさま、ご家族さまからの情報が重要になります。 簡易認知機能スケールであるMMSEは22点以上の方が対象になり、長谷川式認知症スケールですと20点以上が目安となります。 評価は当院でも実施が可能です。 |
② 頭部MRIを用いた評価を受けることができる方 レカネマブによる治療を希望される全ての方において頭部MRIでの評価が必要であり当院で実施しております。 頭部MRI検査で血管原性浮腫、5個以上の脳微小出血、脳表ヘモジデリン沈着症または1cmを超える脳出血が認められる方は治療の対象外となります。 |
③ ご家族さま・介護者さまの付添が可能な方 受診時には原則として、ご家族さま・介護者さまのお付き添いが必要です。 レカネマブによる治療を行う前にはご家族さまにも説明しご理解いただいた上で治療を開始しております。 |
④ 評価をふくめた定期通院が可能な方 脳へのアミロイドβの蓄積を証明する検査としては、アミロイドPETという検査と髄液検査があり、当院では侵襲の低いアミロイドPETを優先しております。 アミロイドPET検査は国立循環器病研究センターにて実施いただき、評価の対象になる方にご案内させていただいております。 その後、治療開始が決定されれば、おおよそ2週間に1回のペースで診察および治療薬の点滴を行います。 投与開始後に脳の腫れや出血などの副反応が生じる可能性があるため投与開始から約2、3ヶ月及び約半年毎の定期的な頭部MRI検査を受けていただきます。 |
医療機関を通じて、高槻病院 精神科または、脳神経内科の診察予約をお取りください。
初回診察からおよそ1~2か月の間で、以下の検査を実施 ● CDR・MMSEなどの認知機能検査 ● MRI検査 ● アミロイドPET検査(国立循環器病センターにて実施) |
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PET検査の結果より投与可否の最終判定し、投与対象となれば、初回点滴予約 投与対象外となれば、通常診察、または治療の道筋をつけ逆紹介 |
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<初回投与> 点滴で薬剤を投与します。投与時間 は約1時間です。 また、投与間隔は2週間ごとに、初回~4回目の薬剤投与を行います。(投与時間、投与間隔は以降同じです) |
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<検査> 初回投与から2か月までを目安に、MRI検査を実施 |
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<投与> 5~6回目の薬剤投与 |
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<検査> 初回投与から3か月までを目安に、MRI検査を実施 |
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<投与> 7~13回目の薬剤投与 |
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<検査> 初回投与から6ヶ月までを目安に、CDR・MMSEなどの認知機能検査、MRI検査を実施 |
初回投与から1年6ヶ月間、薬剤投与・検査を繰り返していきます。
3割負担の方の概算費用です。
薬剤投与:1回につき 約30,000円~50,000円
MRI検査:1回につき 約10,000円
アミロイドPET検査:約50,000円
高額となりますので、患者さまには限度額認定証の申請を推奨します。治療開始前に改めて説明させていただきます。
医療関係者の方地域医療部までお電話いただき「レカネマブ希望」とお伝えください。精神科、または脳神経内科でご予約をお取りします。 ※こちらの電話番号は、患者さまから直接お電話いただくことはできません。 |
レカネマブの治療をご希望の患者さま高槻病院では、皆さまが普段通院されている”かかりつけの医師”と情報を共有しながら、患者さまの健康をともに支えています。 レカネマブによる認知症の治療をご検討の患者さまは、まずはかかりつけの医師にご相談ください。 |