2025.02.14
当記事は地域情報誌「シティライフ」のニュースサイトからの転載です。
乳腺外科 主任部長 三成 善光
「乳がん」は乳腺にできる悪性の腫瘍。その罹患者数は9万人以上と女性がかかるがんで最も多く、40代後半~50代前半という比較的若い年代で罹患率が高くなるのも特徴だ。「治癒のためには、日頃のセルフチェックや健康診断で早期に発見することが一番の対策」と話すのは、高槻病院乳腺外科の三成善光医師。セルフチェックの方法や、同院の乳がん治療の内容について伺った。
女性の約9人に1人がかかるといわれる乳がん。その約8割は女性ホルモンの影響によるもので、初経が早い、閉経が遅い、高齢初産、未産など長く女性ホルモンの作用を受けている人はリスクが高くなります。そのほか、喫煙や飲酒、閉経後の肥満といった生活習慣も要因になるといわれています。
女性なら誰しもかかる可能性がある乳がんですが、早期に発見することにより治癒しやすくなります。そのためには「ブレストアウェアネス」=自分の乳房を日頃から意識することがもっとも重要です。月に1度は鏡で自身の乳房を観察して、くぼみなど変形がないかセルフチェックを。乳房を肋骨に沿うように指でなでて、しこりがないかも確認します。生理が終わって1週間後くらいたつと乳房の張りが少なくなってわかりやすいですね。そして乳がん検診も大切です。30歳以上の女性は2年に1度、可能であれば毎年健診を受けましょう。
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当院の乳腺外科では乳がんの検診から手術、術後の治療まで一貫して行っています。手術においては、できる限り低侵襲(体への負担が少ない)の術式を選択。がんが広がっていなければ、部分的に取り除いて乳房を温存します。「乳房をなるべく残したい」という患者さんもいれば、「再発が心配なのですべて切除したい」という患者さんも。それぞれの希望とがんの状況に合わせて最適な治療法を提案し、ご本人と一緒に決めるようにしています。
術後は再発を予防することが肝要。がんの性質に合わせて薬物療法、放射線治療など、必要な治療を行います。
また、2024年から乳がん患者専用サロン「Aijinkai-Ribbon」を設け、フラワーアレンジメントやヨガなどのイベントを開催。当院の乳がん患者の交流や情報交換の場として活用されています。
早期発見すれば治癒の可能性が高くなる乳がん。乳房のしこりのほか、乳房が痛い、分泌物があるといった症状で来院する人もいます。いずれも良性や問題のない場合も多いもの。ただ、自己診断は難しいので早めに乳腺科、乳腺外科を受診しましょう。
30歳以上の女性は2年に1度、可能であれば毎年健診を受けましょう。
高槻病院では、高槻市・島本町の市民検診として「乳がん検診」を実施しています。
またそれ以外の地域にお住まいの方でも、もし乳がん検診で精密検査が必要という結果を受けられた場合、当院の乳腺外科にてご予約いただけます。