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メディカルナビ

治療と妊娠・育児の両立をサポート

2022.11.04

2022年11月04日
妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師 手島 慶子


薬剤師の仕事は、お薬を患者さんにお渡し、ご説明するだけではありません。
患者さんのアレルギーや病歴を確認し、現在飲まれている薬と新たに処方された薬の飲み合わせの確認、医師への薬剤の提案、入院時に持ち込まれたお薬の管理や、現在は薬薬連携(やくやくれんけい)という体制があり、退院後に行かれるかかりつけの調剤薬局宛に病院での服用状況をお手紙でお伝えし、病院内外でお薬にまつわる連携を取りながら患者さんの治療をサポートしています。


妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師とは

そういった薬剤師の役割の中でも、日本病院薬剤師会が認定する「妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師」は、妊娠中の方、授乳中の方、また持病をお持ちで妊娠・出産を希望されている方へのサポートを行う専門知識を持った薬剤師です。

昔は病気療養中は妊娠を控えるようにと言われていた時代もありました。妊娠中の方、授乳中の方は、赤ちゃんに影響がないように、お薬の制限があることはご存じの方も多いと思います。
ですが、現代では病気をかかえお薬を服用していても、妊娠・出産の機会がもてる時代へと変わってきています。

医師はその診療科に関してはプロフェッショナルですが、妊娠・出産・授乳期のお薬に関しては、「妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師」が診療科の垣根を超えて幅広い知識を持ちあわせ、日々最新の情報収集も行っています。

「これまで受けてきた治療」「これからの出産育児」の二つを継続
そのために、お薬が赤ちゃんに与える影響の可能性を考え、そのご説明や、リスクの少ないお薬の提案等を、医師やお母さんにお伝えしています。




薬を服用していたのに妊娠が発覚。赤ちゃんは大丈夫?

私がよくお受けするご相談では、お薬を服用していた最中に妊娠したことが分かり、お腹の赤ちゃんへの影響を心配されるケースです。
持病をお持ちの方は、多くの方が何らかのお薬を服用されておられます。また、持病はないという方でも、突発的な腹痛・頭痛などで、薬を服用するケースは案外身近にあるものです。春先だけ花粉症の薬を服用される方もおられるのではないでしょうか。

妊娠中は色々心配事も増え、インターネットでは妊娠中の薬の服用について様々な情報が飛び交い、「あの時飲んだ薬が赤ちゃんに影響していたらどうしよう」と不安になると思います。

しかし全ての薬が赤ちゃんに影響があるわけではありませんし、一人で不安を抱えるよりも、われわれにご相談いただいて、安心して妊娠生活を送っていただきたいと思います。

授乳期でも同様です。
母乳育児は様々なメリットがあると言われています。高槻病院でも母乳外来を行い、可能な限りお母さんが赤ちゃんにおっぱいをあげることを推進しています。
一方で、産後のお母さんは体調が不安定になりやすいにもかかわらず、授乳中だからと薬を我慢される方もいらっしゃるでしょう。
授乳期でも飲める薬、飲めない薬、リスクの大小等あります。なるべく母乳育児が継続できるように、薬剤師がご相談、ご提案させていただきます。

高槻病院におかかりの方は、医師や助産師、看護師等にご相談くだされば、薬剤師がお薬についてご説明いたします。




お薬の自己中断をする前にご相談ください

高槻病院は急性期病院として、がん診療や循環器系・脳神経系の治療、救急医療を担っており、高度な医療を提供しています。総合周産期母子医療センターがあることからも、持病を抱えた、ハイリスクな方が多くいらっしゃいますが、すべてのお母さんと赤ちゃんにとって安心できる場所でありたいと考えています。

そんな中で私が一番心配するのは、妊娠や授乳で、これまで治療を受けてこられた薬の服用を、主治医に相談なしに中断してしまうことです。

「もう症状もおさまってきたし、赤ちゃんへの影響も心配だし、とりあえず薬はやめておこう」
このようにご自身の判断でこれまで続けてこられた治療の服用をやめてしまうことは避けていただき、早めに病院スタッフにご相談ください。

必要な薬の服用を止めてしまうと、その時は大丈夫でも、少しずつ身体が辛くなってくる事もあります。赤ちゃんのためと思っても薬をやめたのに、妊娠が進むにつれて辛さが増し、妊娠・出産自体にも後ろ向きな気持ちになっては悲しいですよね。
そのような事が起こらないためにも医師、助産師、看護師に些細なことでもいいので、色々相談してください。そのような相談を受けて、「妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師」が患者さんにとって一番いい方法をご提案できるようお話をお伺いし、一緒に治療と出産育児の両立を頑張っていけたらと思っています。


お母さん自身が妊娠・出産に前向きで、おだやかな気持ちでいてほしい。
そうすることがお母さんだけでなく、赤ちゃんの幸せにも繋がっている、そう思うからです。



MBS『医のココロ』にTV出演します

11/6(日)朝6時~放送のMBS『医のココロ』
「薬剤師の仕事:専門薬剤師(妊婦・授乳婦)」と題して手島薬剤師が出演します。
放送後はアーカイブ動画もご視聴いただけますので、ぜひご覧ください。