2025.02.12
当記事は地域情報誌「シティライフ」のニュースサイトからの転載です。
高槻病院 脳神経外科
脳の血管の病気の総称「脳卒中」は、血管が詰まる脳梗塞、血管が破裂する脳出血やくも膜下出血が主なもので、罹患するとその後の生活に影響する後遺症が残ることも。「寝たきりの原因NO.1ともいわれる脳卒中は、何より予防が第一」というのが、高槻病院脳神経外科の前野和重医師だ。脳卒中の治療に約30年間従事し、脳血管内治療、開頭手術に精通する前野医師。同院における脳卒中予防の取り組みを伺った。
高槻病院は「一次脳卒中センター」に認定され、SCU(脳卒中の集中治療室)において専門の医師、看護師が365日24時間対応しています。治療はもちろんリハビリや退院後の支援まで一貫して行い、地域の脳神経外科基幹病院として診療を行ってきました。
治療はもちろんですが、昨今力を入れているのが脳卒中の予防です。脳卒中になりやすいのは、高血圧や高コレステロール血症、糖尿病、不整脈などの基礎疾患を持っている人。つまり、生活習慣病を抱える人たちです。これらの病気は血栓ができやすくなる、血管が詰まりやすくなるといったリスクがあるため、頭痛やめまいなどの異常を感じたら、積極的に検査を受けることを勧めています。かかりつけ医の紹介により受診される人も多いですね。
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脳卒中の検査ではMRIのほかMRA(血管を立体的に撮影)を使用し、心臓から首、頭の血管に狭さくや動脈瘤がないかを確認。結果によっては開頭術や体に負担の少ない血管内カテーテルを用いた手術を行い、詰まりや破裂を未然に防ぎます。経過観察となった場合も、現状に即した生活習慣の指導を実施。かかりつけ医とも状態を共有し、必要があれば服薬の変更を伝えるなど連携して健康維持に取り組んでいます。また、検査では過去の微小な脳出血、脳梗塞の跡が見つかることも。このような場合は認知症になりやすいと考えられるので、認知能力アップのためのアドバイスを行うこともあります。大切なのは、「正しく現状を知る」ということ。特に血管に問題がなければ、現在の持病の治療がうまくいっているという証拠といえます。検査を受けることで、今後のライフスタイルや持病との向き合い方を、かかりつけ医と相談するきっかけにもなるのです。
生活習慣病を治療中の人はもちろん、最近の健康診断で血圧やコレステロールの異常値が出た人は、脳卒中の危険性が高まっていると意識してください。また、頭痛やふらつきのほか視野が欠ける、ろれつが回らない、指先がうまく動かないなどの症状は脳卒中の初期症状の可能性がありますので早期に受診をしましょう。
発症すると寝たきりや認知症にもつながる脳卒中。規則正しい生活を心掛けるとともに、気になることがあれば受診して、予防を心掛けてくださいね。
※2024年8月時点
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