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メディカルナビ

高齢者の入院診療のリアル ~リハビリテーション編~

2026.08.14

 

病院では高齢の入院患者さんが増えるなか、フレイルや複数の病気・病態、社会的な問題など、さまざまな課題を抱える患者さんも少なくありません。

※加齢や病気によって心身の活力が低下し、健康な状態から介護が必要な状態へ移行する中間の虚弱な状態

 

また、病気を治すために入院するにも関わらず、逆に入院をきっかけに心身の機能が低下してしまうことも。そのため高槻病院では、医師のみならず、チーム医療の力で、入院患者さんが元気になって元の生活に戻れるための治療体制をとっています。

 

では、高槻病院では高齢の入院患者さんをどのように支えているのでしょうか。その診療のリアルをお伝えするべく、今回は高齢者診療を手掛ける総合内科と、チーム医療において重要な役割を担う「理学療法士」にお話を伺いました。

 

 

 

 

高齢の患者さんの“その先の生活”を支えるリハビリの役割

医師:

まず総合内科の特徴からお話しすると、内科疾患を中心に幅広い患者さんを診療しています。一つの臓器の病気であれば専門診療科で診ることが多いのですが、複数の病気を抱えている方は、どの診療科で診るべきか判断が難しいです。総合内科ではそういった患者さんを受け入れ、各専門診療科と協力しながら、病気の背景にも視野を広げ診療をしています。

 

理学療法士:

総合内科の患者さんは高齢の方が多いですよね。病気だけでなく、足腰や食べる力の低下、栄養状態など、リハビリテーション(以下、リハビリ)の視点から見ても支援が必要な方が多いと感じます。

 

医師:

そうですね。骨折では整形外科と連携して診療を行いますが、骨折の背景に目を向けると、フレイルが原因で転倒してしまった、というケースもあります。そのような場合、病気や怪我を治すだけでなく、入院中に身体機能を極力落とさないよう、体を動かし、退院後の生活につなげることがとても重要になります。

 

入院初日から「できるリハビリ」を始める

医師:

高槻病院では、患者さんの状態が許す限り、入院初日から理学療法士が「できるリハビリ」を提案していますよね。

 

理学療法士:

そうですね。病気でしんどい時に無理をするという意味ではなく、動かないことで体力や筋力が落ちてしまうことを防ぎたいと思っています。体力が落ちてからリハビリを始めると、回復に時間がかかることがあります。そのため、血圧や呼吸状態が安定していて、骨に負担をかけても問題がない状態であれば、早期からベッドから身体を起こし、座る、立つ、歩くなどの運動を行います。

 

 

※リハビリの様子

 

医師:

具体的なリハビリの進め方について、例えば骨折などで動きに制限がある場合は、どのように対応しているのですか。

 

理学療法士:

医師の指示を確認し、安静度や装具の状況をみながら進めます。すぐに歩くことが難しい場合もあるので、そのような時には「ベッド上でできる運動」などを初日または翌日から始めることがあります。

 

診療看護師:

病棟によっては土日・祝日や年末年始もリハビリを行っていますよね。病院によっては休日のリハビリ体制が限られることもある中で、土日・祝日も継続して関わってくださるのは、患者さんにとって大きな安心につながると思います。

 

理学療法士:

そうなんです。金曜日に入院した患者さんが週末の間ずっと寝たきりになってしまわないように、土日・祝日も、できるだけ早い段階からリハビリを継続できるよう取り組んでいます。

休日にリハビリを行うもう一つのメリットは、ご家族にもその様子を見ていただけることですね。患者さんがどのくらい動けるのかを実際に見ていただくことで、退院後の生活がイメージしやすくなります。

 

診療看護師:

診療看護師は、医師と協力しながら、患者さんやご家族への説明、退院後の生活に向けた相談にも関わっています。聞くだけでなく、実際にリハビリの様子を見ていただけることは、ご家族の理解や安心につながりますね。

 

大切にしているのは「病気ではなく、人を見る」こと

理学療法士:

リハビリでは「病気ではなく、人を見る」という考え方を大切にしています。同じ肺炎や尿路感染症で入院した患者さんであっても、年齢、体力、基礎疾患、入院前の生活、住まいの環境、ご家族の支援体制などによって、必要なリハビリは一人ひとり異なります。

 

医師:

それは総合内科の医師も同じ視点で診療しています。目の前の病気を治すだけではなく、その背景にある生活上の課題まで見ないと、また体調を崩してしまうことがあります。病気は氷山の一角のようなもので、水面下にある疾患につながりそうな要因まで含めて考える必要があります。

 

診療看護師:

患者さんを点ではなく線で見ることが大切ですよね。

例えば尿路感染症で入退院を繰り返す患者さんの場合、トイレへの移動が難しく、水分を控えていることが背景にあるかもしれません。その場合、移動の負担を軽くすることで改善につながるのか、ご家族の支援が得られるのかなど、生活面も含めて状況を確認します。

必要に応じてかかりつけ医やケアマネジャー、地域の支援者へつなぐなどし、退院後の支援についても取り組んでいます。

 

 

退院後の暮らしを見据え、チームで目標を共有する

理学療法士:

入院前、退院後の環境については、私たちも患者さんご本人やご家族から状況をお聞きしています。リハビリは日常生活動作(ADL)の改善などを目的としています。医師、看護師、ソーシャルワーカーなど多職種からの情報も踏まえながら、その人に合ったリハビリを組み立てています。

目標とする生活は患者さんによってさまざまです。散歩を日課にしていた方、階段のある家で暮らす方、買い物に行く必要がある方では、リハビリで目指す内容も変わってきます。

 

医師:

病気を治して終わりではなく、その後の生活が続いていくことを見据えることが大切ですね。高槻病院では、病気を治すことに加え、退院後の暮らしまで見据えた支援を大切にしています。病院内では理学療法士をはじめ、多職種が患者さんを支えています。

 

理学療法士:

リハビリを行っても、すべての患者さんが入院前と同じ状態に戻れるわけではありません。だからこそ、患者さんの体調や回復の見込み、住まいの環境、ご家族や地域の支援体制をふまえ、その人にとって現実的で安全な目標をチームで共有することが大切です。患者さんが退院後も安心して生活を続けられるよう、病院内だけでなく、ご家族や地域の支援者とも連携しながら支えていきたいと考えています。