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メディカルナビ

意外と知らない「不整脈」 日々の習慣と専門的な治療で対策を

2024.07.29

当記事は地域情報誌「シティライフ」のニュースサイトからの転載です。

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副院長・不整脈内科 主任部長 山城 荒平

さまざまな病気によって引き起こされる「不整脈」。血液の循環を司る心臓に異常が生じることで、時として命にかかわることもあり得る。ただ近年では医療技術の進歩によって、かつて治療が難しかった症例でも治る可能性が高まっているという。不整脈治療に約30年間従事し、先進的な治療法“カテーテルアブレーション”の国内における第一人者である高槻病院 副院長 不整脈内科の山城荒平医師に話を伺った。

心臓は電気信号によって収縮し、全身に血液を送っています。不整脈はこの信号に生じた何らかの異常で起こります。脈が速い、遅い、不規則など病態はさまざまで、実は「不整脈です」とだけ言われても、そこからわかる情報は少ないのです。治療を行う際は、どんな病気が原因で脈が乱れているのか知ることが重要です。

心臓は左右の心房、左右の心室の4つの部屋に分かれています。高齢になるほど増加するのが、上側の部屋である心房で痙攣が起こる「心房細動」です。下側の部屋で起こる「心室細動」とは違い、直ちに命にかかわる病気ではありませんが、痙攣した箇所にできた血の塊が脳へ到達することで「脳塞栓症(脳梗塞の一種)」を引き起こすおそれがあります。心房細動は遺伝的な要因も一部ありますが、大きく言えば生活習慣病の一種です。肥満、飲酒、高血圧、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群などは心房細動の合併率が高いため、生活習慣の改善が大切になります。

数多くの不整脈治療にあたってきた山城医師は、全国規模の学会でデモンストレーションの術者として招かれるほどの腕前。


高槻病院の不整脈内科は、不整脈を専門にした経験豊富なスタッフと連携しつつ、先進的な設備を生かした高度な医療を提供できる点が強みです。私自身、心臓にカテーテルを挿入して内側から不整脈の原因を取り除く治療法である「カテーテルアブレーション」で、5000件以上の症例に携わってきました。医療技術は日進月歩で高度化を続けており、これまで治らないとされてきた不整脈も治療できるようになっています。
当不整脈内科では国内に2台しかない※「マグネティックナビゲーションシステム」を導入しており、複雑な不整脈治療にも対応することが可能です。また、かつてカテーテルアブレーションは一定の年齢を超えると受けられませんでしたが、患者様の状態次第で年齢を問わず受けられるようになりました。
※2024年5月時点


高度な技術と知見を持つ高槻病院 不整脈内科には、全国から患者が訪れる。無料のオンライン相談窓口も設けているという。

不整脈を見つけるためには、自分の脈をきちんと測る習慣が大切です。市販の携帯型心電計を用いるほかにも、一部の血圧計で心電図を測ることもできます。昨今はApple Watch(スマートウォッチ)などで心電図を測ることもでき、測定した心電図を専門医に提示して治療の参考にする例もあります。もちろん、機械を用いず手首に指をあてて測る方法でもかまいません。いずれの方法でも、健康なうちから習慣的に測ることで、異常に気づきやすくなります。「もしや」と感じたタイミングを見逃さないようにしましょう。


なお病院を選ぶ際は、「不整脈の専門医」を探して受診するのがおすすめです。不整脈の治療を安全に行うためには、充実した設備と専門的な知見が欠かせません。また、合併症が起こる可能性は低下しているとはいえ、術後にしっかりとフォローできる体制も重要になります。今ではインターネットを通じて、学会が認定した不整脈専門医を調べることができるので、受診する前にぜひチェックしてみてください。

「カテーテルアブレーション」とは、足の付け根などの血管から心臓へとカテーテルを挿入し、不整脈の原因となる部分に直接熱を加えて焼灼する治療法。従来は困難だった不整脈治療にも対応。