2022.09.29
2022年9月29日
救急科 秋元 寛
高槻病院 救急科は三島医療圏(摂津市・茨木市・高槻市・島本町)を中心に、消防、地域の診療所・クリニックなどと連携し、2次救急(小児は3次救急)を担っています。
日本の救急医療は3段階体制となっています。
1次救急:入院治療の必要ない帰宅可能な患者に対応する救急医療 2次救急:入院や手術を必要とする重症の患者さんのための救急医療 3次救急: 生命に関わる重篤な患者さんに対応する救急医療 |
高槻病院は2つのセンターを有しており、成人を対象とした「総合救急医療センター」では2次救急を、お子様のための「小児救命救急センター」では3次救急を担っており、一刻を争う重篤な症状の小児の患者さんを受け入れています。
救急科には、常に医師が5~6人おり、看護師、事務職員、必要に応じて院内の専門の医師が連携し24時間体制で救急診療にあたっています。
高槻病院の救急科では「すべての患者に最良の救急医療をーBest for all Patientー」をスローガンにしています。
「すべての患者に」とは、成人の方はもとより、小さいお子様から、妊婦さん、お年寄りまで、まさにすべての患者さんです。
高槻病院は総合病院ですので、様々な専門分野の医師が多く在籍し、救急の場面でも緊密な連携を取っています。
例えばお子様の場合、軽度な外傷であれば救急科の医師が対応しますが、必要であれば小児科、小児外科、小児脳神経外科の医師が迅速に診療を行います。妊娠中の方であれば、高槻病院には総合周産期母子医療センターがありますので、産婦人科の医師が診療をします。こういったところも“高槻病院が母子に強い病院”といわれる所以でしょう。
また去年から特に力を入れているのが、高齢者の循環器系・脳卒中系の疾患に迅速に対応できる体制作りです。
これらの領域は、地域の医療機関や救急隊からの要請に対して、特に急を要するような場合が多く、例えば急性心筋梗塞などは早急の治療開始で助かる確率が上がります。脳卒中については、高槻病院は「一次脳卒中センター」に認定されており、脳卒中の専門医師が24時間体制で、脳神経疾患に対する高度医療を提供できる施設となっています。
急を要する疾患に対し、救急隊等からの情報が入り次第、想定される治療に対して必要な人材・設備を準備し受け入れ、当院到着時には早急に治療に入れるようにしています。
このように専門的治療の必要が生じたときは、専門分野の医師に治療を引継ぎますが、救急科ではその後もカルテ等で受け入れた患者さんの追跡を行い、救急科での処置や判断が適切だったかどうか、全員で振り返るようにしています。難しい症例に対し適切に対応できた時や、わずかな異変を発見し迅速な治療の結果、患者さんを救えた時などは、スタッフみんなで喜びを分かち合います。そういった積み重ねが今後の救急に生かされ、市民を救う一助となると考えています。
先も述べましたように、高槻病院は2次救急医療機関として、入院や手術が必要な重症の患者さんのための救急を担っています。
しかしコロナ禍になってからは、軽傷の方の搬送が増えたという印象です。
新型コロナウイルス感染症の第5波以降「救急や医療が逼迫しており、治療が必要なのに病院のベッドに空きがなく医療が受けられない!」と報道でも取り上げられることもあり、誰しも不安になると思います。
発熱で救急車を使用しないように、ということではありません。
・意識がはっきりしなくなった
・急で強い痛みが頭部、胸部、腹部に生じた
・突然麻痺やしびれが生じた 等
このような時は、躊躇せず119番で救急車を呼ぶべきです。
ですが、なかなかご自身では、軽症か重症かの判断は難しいと思います。「この症状で救急車を呼んでもいいだろうか」と迷った時には、救急安心センター「#7119」に電話して、専門スタッフに指示を仰いでください。
救急車の適正利用は、ニュース等でも取り上げられますが、この地域でも決して他人事ではない状況です。正しく救急車を利用することが、本当に必要な時に、必要な人に、必要な医療を届けられることに繋がるのです。
#7119 救急安心センターおおさか
(大阪市のページですが、大阪府内すべてが利用地域です)
また、高齢になるほど「かかりつけ医」をもっていただくことも重要です。
日ごろからかかりつけのクリニック、医院の先生に診てもらうことで、普段の体調を知ってもらえます。普段とは違う、何か様子がおかしい、そんな時こそかかりつけの先生に相談することで、それが急を要するのか、どの分野の診療が必要かを的確に判断してもらうことができ、結果的に適切な医療を受けられるようになると考えます。
救急医療は地域医療だと考えています。
高槻病院では、高槻市のおおよそ3割の救急患者さんが搬送されてこられます。高槻病院 救急科では、救急隊や近隣のクリニック等との連携を行い、突然の怪我や病気に対し断らない救急を実践しているため、「このような症状は診られない」「このような人は受け入れられない」などとお断りすることはありません。
どんな患者さんも救命を最優先に治療にあたり、「すべての患者に最良の救急医療をーBest for all Patientー」を実現し、地域に住む方の安全と安心を支えていきたいと日々活動しています。