
2026.07.08
高槻病院 栄養管理科では、地域住民の皆さまの健康づくりを支える取り組みとして、地域のスーパーマーケット「株式会社ミートモリタ屋」と連携し、管理栄養士が減塩に配慮した「健康弁当」の栄養面の監修と、「健康かるた」作りを行いました。その取り組みへの思いを、管理栄養士に伺いました。
管理栄養士監修「健康弁当」を
ミートモリタ屋北園本店で販売開始
※発売のお知らせ
病院では医師が患者さんへ、手術や薬の処方など、さまざまな方法で病気を治療し、「健康」な状態を目指し取り組んでいます。私たち管理栄養士の役割の一つに、患者さんの疾患に応じたバランスの取れた栄養のある食事を取ってもらう「栄養指導」があります。
栄養指導では、患者さんの状態にあわせて、食事について専門的にアドバイスを行います。病気の治療とは直接関係がないように思うかもしれませんが、日々の食事は身体を作る「源」です。治療や健康維持をする上で非常に大切な要素です。
近年、高齢化や核家族化が進んでいます。
一人暮らしの方は、自炊もままならず、菓子パンで食事を済ませてしまったり、時には食事を抜いてしまうこともあります。高齢者の夫婦の場合、今まで料理を担っていた奥様が身体を悪くされると、一気に生活が崩れ、これまでの食生活の維持が難しくなることもあります。
そのような背景の中で、生活習慣病からはじまる糖尿病、心不全、腎臓病や、高齢者のフレイル、サルコペニアなど、さまざまな病気に発展する要因となります。
スーパーにお惣菜などを買いに行ったとしても、あまり栄養面を考えずに選んでしまうと、塩分過多や、栄養バランスの偏り、低栄養を引き起こすこともあるでしょう。
当院での治療が終わり退院された後も、栄養バランスの崩れた生活を送り、再入院になるケースも少なくありません。
―― 病院での治療が終わっても、食事の課題は続いていくのですね。
そうですね。管理栄養士の栄養指導では、患者さんに「こんな食事を取ってくださいね」と分かりやすく伝えています。ですが、患者さんの環境を伺い、自炊の難しさ、スーパーで適切な惣菜が見つけられないことを見聞きし、私たちも非常にもどかしい思いでいました。
自炊が難しい患者さんは、食事をスーパーマーケットの惣菜コーナーやお弁当に頼っておられることが多いです。「患者さんが簡単に栄養面に配慮した食事を選ぶことができたらいいのに」と思ったことがきっかけです。そこで、私自身も利用していた地域のスーパーマーケット ミートモリタ屋 北園本店に協力をお願いしたところ、地域住民の健康づくりという共通の思いから、ご協力いただくことができました。今回の「健康弁当」は高槻病院の管理栄養士が栄養面の監修を行い、モリタ屋が仕入れ・調理・販売を担っています。
「健康弁当」で一番重視したのは「栄養のバランス」です。
主菜となる魚や肉、卵から約20gのたんぱく質を摂取できるように。またビタミンや食物繊維面では、野菜を120g程度。だいたい成人が1日に必要な野菜は350gと言われていますので、その1/3をお弁当に入れてもらっています。
カロリーは約550~650キロカロリーで、年齢等によって必要なカロリー数は異なりますが、高齢者にとっては十分な量となっています。
あと特に重視したのは塩分です。1食だいたい2.5g前後に抑えています。実は成人の塩分摂取量は1日あたり6.5~7.5g未満が推奨されているのですが、実際には平均9.6g摂取しているというデータ(※1)もあります。
なお、日本人が生きていく上で必要な塩分量は1.5g/日とされていますが(※2)、実際の食生活ではそれを大きく上回る量を摂取しているのが現状です。
※1 令和6年国民健康・栄養調査の概要より
※2 日本人の食事摂取基準(2025年版)より
―― それは大きな差ですね。
理想と現実には、大きなギャップがあるということです。病院の栄養指導では、お弁当についている漬物は食べないようお伝えすることも多く、今回の「健康弁当」ではそもそも漬物を入れないようにしていただいています。
モリタ屋 北園本店では、これらの栄養バランスに配慮しながら、「日替わり」でお弁当を用意してくださっています。お弁当を毎日購入される方にとっては、おかずが日々変わるので、飽きることなく、栄養バランスの整った食事をとってもらえます。

病院では、管理栄養士がエネルギー量や栄養素などを厳密に管理し、入院食を用意しています。一方、スーパー側ではこのような厳密なルールを守ることは、他の調理もありますので、難しい部分があります。お弁当の開発では、お互いどうしたら「栄養のバランス」を担保し続けられるかも課題でした。
また栄養士は栄養面もさることながら、美味しさや彩りにもこだわりがあるスタッフも多くいます。私たち栄養士からの多くのリクエストに対し、発売までの約1ヶ月半の間、試作を何度も繰り返すなどして、「健康弁当」の完成に至りました。モリタ屋 北園本店の皆様には本当にご尽力いただき、感謝でいっぱいです。

栄養士としては、栄養バランスの良い食事もですが、前提となる栄養の知識をもってもらいたいと思っています。
「健康弁当」を考えていた時に、消化器外科の医師から「トレカとか付けたら面白いんちゃう?」というアドバイスをヒントに、「健康かるた」を考案しました。
管理栄養士がお弁当を監修することは特に珍しいということはありませんが、今回のような「健康かるた」を付けたお弁当は、高槻病院らしいユニークな取り組みだと思います。

「あ」から「ん」までの46枚分の栄養アドバイスを、高齢者にもなじみのある「かるた」にし、大阪弁で、楽しい雰囲気で伝えたい。院内の医師や病院スタッフに撮影の協力をお願いしていきました。
最初はこの企画にスタッフが協力してもらえるか不安でした。でも実際撮影を進めていくと、みんなすごく協力的で、「声かけてくれるの待ってたわー」と言ってくれる医師もおり、高槻病院の多くの職員が趣旨に賛同し、協力してくれました。病院では様々なスタッフが「チーム医療」として、チームワークの中で患者さんを診ています。それがこの「健康かるた」でも発揮されたことに、驚きと感動がありました。
「健康かるた」はお弁当1つにつき1枚、ランダムに入っています。診療の現場では真剣な医師たちですが、かるたの楽しい雰囲気を通じて、親しみやすさとともに栄養のアドバイスを伝えられたら嬉しいです。
「心不全や糖尿病等の患者さんたちが再入院しないように、健康な状態を維持してほしい。」
「患者さんがつらく苦しい思いをしないように、健康でいてほしい。」
私たちは常にそう願っています。
そのためには栄養バランスの良い食事を取ってほしい。
高齢者に限らず、若い方でも、仕事が忙しくカップ麺で食事を済ます方もおられます。病院としては保険制度の仕組み上、「ここのお弁当を買ってくださいね」と言うことはできませんが、今回のように、患者さんが多く暮らす地域のスーパーマーケットで、健康に配慮したお弁当が販売されることは、患者さんの健康を願う私たちの心の支えでもあります。
このような健康を意識した食事が、可能であれば他のスーパーや、飲食店などに広まってくれるといいなと思っています。
私たちは高槻病院の管理栄養士ですが、今回のように病院の外で活動することが、患者さんはもちろんのこと、地域住民の皆さまの食環境を支える一助になれば嬉しいですね。

地域住民の健康づくりにつながる取り組みについて、高槻病院 管理栄養士との連携に関心のある事業者・飲食店の方は、栄養管理科までお問い合わせください。
※当院は商品の製造・販売には関与しておりません。
※本弁当は疾病の治療、予防又は改善を目的としたものではありません。
