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乳がん

はじめに

乳がんは女性の最もかかりやすいがんです。生涯に乳がんを患う日本人女性は、16人に1人と言われています。早期に発見すれば治癒できる可能性が高く、90%以上が治ると言われています。しかしながら、乳がんによる死亡数は年々増加しています。2011年に乳がんで亡くなられた女性は12,730人[厚生労働省 人口動態統計](図1)でした。早期発見のために、自己検診と定期的な検診が必要であり、的確に診断し適切な治療を受けることが大切です。
当院では、外科、放射線科、病理科、化学療法室、緩和ケアチームなどによる多職種によるチーム医療で診療を行っています。

(図1) ますます増える女性の乳がんの死亡数(概数)

※厚生労働省人口動態統計<2012年6月5日発表>より

乳がんの診断・検査

自己検診

左右差がないか、皮膚のひきつれがないか気をつけましょう。触診は仰向けになって指で軽く圧迫するようにしてください。正常の乳腺と違う固さのしこりがあれば受診してください。乳頭から血の混じった分泌物があるときも受診しましょう。

検診(市民検診、ドックなど)

視触診に加えて、乳房超音波検査やマンモグラフィーをお勧めします。若い方では乳腺組織が発達していますので超音波検査の方が分かりやすいことがあります。

乳がんが疑われたら

しこりがはっきりしていて、乳がんが疑わしい場合はしこりの細胞を調べるために針生検を行います。細い針で細胞を採取する場合とやや太めの針でしこりの一部の組織を採取する場合とがあります。
分泌物が認められる場合は、分泌物の細胞診を行います。

乳がんと診断されてから

乳房から離れているところへの転移がないか全身を検査します。転移しやすい場所は、肺、肝臓、骨、脳などです。CT、MRI、超音波検査、骨シンチグラフィー等が有用です。すべての検査をあわせて、病期分類がなされます。

病期(ステージ)分類について

病期分類は、TNM分類が一般的で、しこりの大きさ、リンパ節転移の有無、他の臓器への転移の有無により、病期IからIVまで分類します。(下図)

▼乳がんの病期分類(TNM分類)

T:原発巣(しこりの大きさ)
Tis 非浸潤がんあるいは腫瘤を認めないPaget病
T0 原発巣が視触診、画像診断でも確認できないもの
T1 しこりの大きさが2cm以下のもの
T2 しこりの大きさが2.1cm~5cmのもの
T3 しこりの大きさが5cmを超えるもの
T4 大きさに関係なく皮膚に露出したもの。炎症性乳がん
N:所属リンパ節
N0 転移を認めないもの
N1 腋のリンパ節(腋窩リンパ節)に転移を疑うもの
N2 腋のリンパ節に固定されたリンパ節転移を疑うもの
N3 からだの正中に近いところにあるリンパ節(胸骨傍リンパ節、鎖骨の上のリンパ節)に転移が疑われるもの
M:遠隔転移(骨、肺、肝臓など乳房から離れたところ)
M0 転移を認めないもの
M1 転移を認めるもの

乳がんの治療

乳がんの治療は病期によって異なります。また、同じ病期でも、がんのひろがりやがん 細胞の性質により治療法が異なることがあります。
治療は手術、放射線治療、薬物療法(ホルモン療法、分子標的治療、化学療法など)があります。

手術(外科的治療)

乳房温存手術(乳房部分切除術)

乳房の形をできるだけ保ち美容的に優れている手術方法です。腫瘍から1~2cmはなして乳房を切除します。直径3cm以下が一つの目安になりますが、腫瘍の場所、乳房の大きさなどを考慮し、ご本人と相談して行います。手術の後には、残った乳房に再発することを予防するため放射線治療を追加することが多いです。

乳房切除術

乳がんが大きい場合、広く広がっている場合、複数ある場合などは乳房切除術を行います。乳腺組織をすべて切除する手術方法で、がんの広がりによっては乳房の下の筋肉を一緒に切除することもあります。

乳房再建術

乳房切除後に乳房のふくらみを希望される方には、乳房再建術を行います。手術方法については、自分の筋肉を使用する方法や人工物を使用する方法があります。再建の時期については、手術と同時に行う方法と時期をおいてから行う方法とあります。当院では、形成外科の医師と協力し行っています。

リンパ節切除

がん細胞はリンパ液の流れにのって周辺のリンパ節に転移することがあります。最初に転移しやすいリンパ節をセンチネルリンパ節といいます。当院では色素法でセンチネルリンパ節の判定をしています。手術の際に、乳輪部に色素を注入し、その色素によって染まったわきの下のリンパ節(センチネルリンパ節)を切除し病理検査で転移があるかを調べます。転移があれば、リンパ節郭清(広い範囲の腋窩リンパ節の切除)を行います。

放射線治療

乳房温存手術後やリンパ節転移が多い場合に手術の追加治療として行います。また、骨、皮膚、脳などに再発した場合にも放射線治療が有効です。当院では放射線治療器を設置し、放射線治療専門医の指示のもとで放射線治療を行っています。

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薬物療法

内分泌療法

乳がんは女性ホルモンに影響されやすい腫瘍です。腫瘍細胞のホルモン受容体のエストロゲンレセプターとプロゲステロンレセプターを調べ陽性の場合には、女性ホルモンを抑える薬を内服してもらいます。再発の予防のため、手術後に5年以上服用することを勧めています。

分子標的治療

がんの増殖に関わっている物質を標的にしてがんの増殖を抑える治療です。よく使用されるのがトラスツズマブ(ハーセプチン)で、がん細胞の上皮細胞にあるがん増殖に関わる特殊なたんぱく質(HER2)を調べます。HRR2陽性の場合に投与すると、そのタンパク質の働きを阻害し治療効果が得られます。手術前の化学療法、手術後の補助療法、術後再発した際の治療に使用します。

病期に準じた治療

0期

乳房切除術、または乳房温存手術と放射線治療を行います。術後に再発を予防するために内分泌療法を行うことがあります。

I期~IIIa期

手術が勧められます。しこりの大きさによって手術術式が選ばれます。手術で切除した標本を顕微鏡で検査し、がんのひろがり、リンパ節転移の数、がん細胞の悪性度の評価、ホルモン受容体の有無などを調べ、再発の危険性を評価します。再発の危険性が高い場合は、化学療法、内分泌療法、放射線療法などの追加治療を選択します。II期やIIIa期の場合でしこりが大きい場合は手術前に化学療法を行い、その後に手術を行うことがあります。

化学療法の効果があれば、しこりが小さくなり温存手術が行える可能性が出てきます。手術と化学療法の順序はどちらを先にしても治療の効果は変わらないとされています。

IIIb期、IIIc期

手術よりも、薬物療法、放射線療法が勧められます。しこりが小さくなり手術が可能になることもあります。この時期では手術の有用性についてははっきりしておりません。

IV期

この時期は全身にがんが広がっている状態ですので乳房のしこりを切除する意味はありません。化学療法や内分泌療法、放射線療法などで転移の状態に合わせた治療を選び、がんの進行を抑えます。がんによる症状を抑えるために緩和医療も必要になります。

セカンドオピニオン

当院の担当医以外の医師の意見を聞くこともできます。診断の確認や治療方針など他の医師の意見も伺いたいときは申し出てください。紹介状や検査の資料を用意させていただきます。

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