愛仁会グループ

HOME > 臨床研究部 >分子医療研究室

臨床研究部

臨床研究部 分子医療研究室

分子医療研究室


1. 難治性脳形成障害症(fetal brain malformation)の新規治療法開発に向けた病態解析研究

 当研究室では、厚生科研による多施設共同研究(主任研究者小崎健次郎)の一環として、①胎児診断における難治性脳形成障害症の診断基準の作成、及び②新規治療法開発に向けた病態解析研究を支援する、臨床病態、画像情報、遺伝子情報、患者由来生体試料(組織・細胞・DNA)などのデーターバンクの構築を目的として開始された難治性脳形成障害症(fetal brain malformation)(http://fms.fetal-brain-malformation.jp)ネットワーク(主任研究者;金村米博)に参加している。当院では、出生前診断された症例を中心に症例登録協力施設として2017年3月時点で108件の症例登録をしている。患者生体試料として、DNA試料、培養細胞試料を分離・樹立し、各々保管した。うち10件で遺伝子解析を行い、L1CAM, AKT3,PIK3AC,COL4A1などの遺伝子異常が同定されている。国立大阪医療センター臨床研究センター幹細胞研究室では、これら患者由来試料から分離した線維芽細胞、神経幹細胞、間葉系細胞(臍帯由来)、血液細胞の特性解析に既に着手しており、今後はさらにそれら細胞から疾患iPS細胞の樹立を行いその解析を実施していく。


 分子遺伝子学的研究は、これまでの方法に加えてアレイCGHを用いて網羅的な遺伝子解析の方法を用いた検索を開始し、慶応大学臨床遺伝センター小崎教授が主任研究者を務める次世代シークエンサーを用いた解析の共同研究者として参加している。難治性脳形成障害症ネットワークの主任研究者が在籍する国立大阪医療センターは、 X連鎖性遺伝性水頭症90家系における神経接着因子L1CAM遺伝子異常の同定を 中心となって行ってきた。全世界でも約200家系においてのみL1CAM遺伝子異常が 同定されているに過ぎないので、全世界的にもL1CAM遺伝子解析の拠点になっている。



2. 潜在性二分脊椎症における脊髄係留の評価方法の開発

 二分脊椎症とは一次もしくは二次神経管の発生異常により生ずる先天奇形で,神経組織が表皮に覆われている潜在性と外表に露出している開放性とに大別できる.潜在性二分脊椎症は開放性のものに比べると神経の形成不全は比較的軽微で出生時には無症状の例が多いが,成長に伴い脊髄が下方に牽引されることにより脊髄係留症状を呈することが問題となる.脊髄係留の主な症状は下肢の運動・感覚障害,直腸膀胱障害であるが,症状出現前や早期の手術により症状出現の予防,軽減を図ることができる.脊髄係留の有無は手術適応を決定するうえで重要な点である.現在は脊髄病変に伴い脊髄円錐が正常よりも下方にある場合に係留ありと判断し,手術(係留解除術)を施行しているが,脊髄円錐の位置は個人差があること,位置が正常でも係留症状を呈することがあることから,画像上の位置以外の評価法が必要と考えられる.当院では東芝製高周波リネアタイププローブを用いた形態および動態検査を施行している。欧米では二分脊椎症のスクリーニング検査として広く用いられているが、日本ではMRI検査が主に行われてきたが、現在問題になってきた鎮静の問題から脊髄超音波診断の価値が高まってきている。脊髄超音波に関しては,脊髄の動きをリアルタイムに観察することができ,脊髄係留の程度を動きの面から評価することが可能で、脊髄係留の新しい評価法になりうると考えられる.研究責任者は,2013年12月現在潜在性二分脊椎児64例に対し,脊髄の動きの評価を行ってきた.症例数が少ないため,正確な評価は難しいが,画像上もしくは臨床上明らかな脊髄係留が認められる児では,脊髄の拍動が少ないことが観察され,全国学会でその成果を発表してきた。

(室長:原田敦子)