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臨床研究部

病態代謝研究室

肝組織内血小板血栓が慢性肝疾患進展機序へ及ぼす影響についての病理学的検討

 慢性肝炎・肝硬変において、肝組織内に形成される血小板血栓が病期の進展を促進する可能性が示唆されている。本研究ではその病理学的意義をより明確なものとし、 現在推進されつつある慢性肝炎・肝硬変に対する抗凝固・抗血栓・抗血小板療法へ病理学的根拠を与えることを目指す。具体的には、1)肝組織内/類洞内血小板血栓の定量、 2)肝傷害度・線維化促進度との関係、3)肝組織内凝固バランス不均衡の影響、4)臨床的肝障害指標との関連性、を検索し肝組織内血小板血栓によりもたらされる肝傷害機序への影響の大きさを評価する。
 現在までに肝硬変患者の血小板減少は、腫大した脾臓による血小板破壊の亢進と病肝からのトロンボポイエチン産生・放出の低下に加え、血栓症などによる血小板消費の亢進が 影響していることを明らかにしてきており(Am J Med Sci 2013;消化器内科2013)、肝硬変の諸病態および肝病変そのものを凝固バランスの不均衡という側面から捉え、さらなる病理機序の解明を目指す。

(室長:伊倉 義弘)

悪性結腸直腸閉塞の治療における大腸用ステントの有効性と安全性の研究

 大腸狭窄に対する金属ステントは本邦で薬事認可も保険収載もなかったが、2011 年7 月にようやく米国製の大腸用ステントである WallFlex Colonic Stent の薬事認可が承認され、2012 年からは保険収載の上で使用可能となり、全国で急速に広まっている。大腸ステント留置術については、 今までの本邦の報告や欧米の報告では、技術的成功率が9割以上、臨床的成功率も約9 割程度と良好な成績が報告されている。また留置手技に関する合併症も少なく、 穿孔率が0-4%、合併症全体でも2-10%程度である。一方で、欧州での大腸癌イレウスに対する大腸ステント留置と緊急手術のRCT でもステント群での穿孔率(13%) の高さから研究の中断がなされている(Hooft JE, Lancet Oncol 2011)など、大腸ステントの安全性については依然として疑問が持たれている。今回、新たなステントである、 Niti-S Enteral Colonic Uncovered Stent, D-type が薬事認可された。このため、新たに本ステントが保険収載されるにあたり、その有効性および安全性の評価が必要と考え、 日本消化器内視鏡学会附置研究会である「大腸ステント安全手技研究会」のもと、東邦大学医療センター大橋病院が主任研究施設である多施設共同研究に参加していく。

(室員:大須賀 達也)

白色脂肪細胞の脂肪蓄積形態が制御する個体レベルのエネルギー代謝

 過食・運動不足に象徴される現代のライフスタイルと密接に関連した肥満は、慢性炎症を背景に、糖尿病、高血圧、脂質異常症、動脈硬化、がんなどの疾患に結びつく。故に肥満の蔓延は個人のquality of lifeのみならず社会的見地からも大きな損失となる。このため肥満を克服することは内科学に課せられた重要かつ喫緊の課題である。肥満の本態は白色脂肪細胞における過剰な中性脂肪の蓄積であるが、脂肪細胞にはエネルギー貯蔵細胞である白色脂肪細胞のほかに、エネルギーを消費する褐色脂肪細胞が存在し、肥満に対して抑制的に作用している。この両脂肪細胞の大きな形態的相違点として、白色脂肪細胞は単房性に中性脂肪を蓄積するのに対し、褐色脂肪細胞は多房性に中性脂肪を蓄積することが挙げられる。近年、脂肪細胞内の脂肪滴蓄積には脂肪滴膜に局在する蛋白群が極めて重要な機能を果たしていることが明らかとなってきた。我々は主に脂肪細胞内の脂肪蓄積形態の違いが如何なるメカニズムを介して全身のエネルギー代謝に異なった影響を及ぼすのかを細胞および個体レベルで解明し、脂肪の蓄積形態を変えうるような手法を肥満やその合併症の治療として確立することを目標にしている。

(客員室員:田守義和)